作った自キ

一昨年の初夏、秋葉原で初めての自作キーボードを買った。去年さらに2台を迎え、最近1号機を買った時に連いていってくれた友人が買ったまま組んでいなかったHelixを預かったのだが、特に詰まることもなくさくっと組めた。たった4台触っただけではあるがなんとなく技術の向上も感じ、自作キーボードもそろそろ趣味と言ってもいいかもしれない。ここまで組んだキーボードをまとめてみた。
1号機
キーボード:lily58 Pro
キースイッチ:ロープロの茶軸・白軸(軸の色はキーの触り心地のタイプを示す)
キーキャップ:ロープロ白黒
買った日:2020/6
初めて組んだキーボード。本当は別のキーボードを予定していたが、店舗でロープロ(高さが低いキーボードのこと)に惚れたので店員さんに励まされながらダイオードを表面実装した。
最初はOLEDのためにキーボード全体が遅延してしまって使い物にならなかったので、Discordの集合知にめちゃくちゃお世話になった。
ロープロはキーキャップの選択肢がほぼないという致命的な欠点があるのだが、最近色の選択肢が増えたので買い足したい。
普段使いのキーボードなのでかなり塗装がハゲてきてしまった。コーヒーを零されたりキーの間に塵埃が溜まったりするが健気に生きている。
2号機
キーボード:ino (Pure Black x Yellow)  
キースイッチ:Zealio V2 (65g)・ロープロ茶・ロープロ白
買った日:2021/3
あまりにも可愛かったので愛玩用に買った。猫のように可愛がられ猫執筆の専門キーボードとして活躍した。
かなり拘ってキースイッチを選んだので打鍵の心地がいい。タイプライターライクで文字入力(プログラミングではなく)に相性がいいと自画自賛している。キーキャップにも憧れのTai-hao(台湾のメーカーで色のセンスがめちゃくちゃいい)を選んだが写真と色合いが違っていて大分落ち込んだ。今日Majestouchを買い与えたが今後ももう少し探す予定。サイバーな黄色がいいな。
(22/7/4)
ずっといいなーと思ってたCyberpunk 2077風キーキャップを海外から買い足して与えた。最高にアガる組み合わせになった。
3号機
キーボード:Palette1202
キースイッチ:Gateron Ink v2 (Black) ・NovelKeys x Kailh BOX Thick Clicks (Jade)
キーキャップ:Tai-Hao RainDrop・DSA無刻印
買った日:2021/4
絵を描く時の左手デバイス用。すぐ後に液タブ購入&漫画をがっつり描いてないのでまだガシガシ活躍している訳ではないが、いつでも準備はできている。
組立時に作者さんとDiscordの皆さんにお世話になったのでお礼の気持を込めてビルドログを書いた。作者さんがそれを公式ガイドに載せてくれたので結構色んな人が読んでくれているらしい。つい先日気がついた。少しは自キコミュニティに恩返しができたかと思うと嬉しい。
私はブログにアクセス解析を入れていないのですな。Pixivのアクセス解析見るのは好きだったが。ブログはまぁいいやと思って。
4号機
キーボード:NKNL7JP
キースイッチ:Durock silent Linear Dolphin・Aliaz Silent
アクリルプレート:ウルトラレッド(2mm)・ガラスエッジ(3mm)
ステレオケーブル:ST35-AMR75R
買った日:2022/4
日本語向けキーボード&リニア軸を組み立てたかったので組んだ。Lily58と交代して普段使い用。結果的にキースイッチもキーキャップも静音タイプになったのでかなり違うタイプになってそれ自体が満足。
アクリル積層初めてだったのでこれまでの四台で一番手こずった。基板にちょっと断線があってアクリルプレートにも公差があったのでその不具合を吸収するのが大変だった……。作者さんがネジ送り直してくれてありがたかった。
プレートは遊舎工房の半額キャンペーンで注文。結構高額だな……と思ってたのでありがたい。でもせっかく二色選べるんだからもっと組み合わせ考えたらよかったかなー!選択肢が多すぎて守りの選択をしてしまった。いやウルトラレッドが一番かっこいいんですけどね。ステレオケーブルまで赤で合わせてずっと憧れていた真っ赤なキーボード+下の段ではMajestouchが上手く嵌って結果的にいとよし。
ここからの趣味の正当な進化としては、アーティスタンキーキャップ(手作りのキーキャップのこと)、キーボードケース(アルミが流行っている)、ケーブルなどの沼が存在する。
このシリーズが自作キーボードを調べた時からずっと欲しいが、まだその時ではない気がしている……。
そういえば私には写真を撮る習慣が全然なく、全然ないゆえに苦手意識さえあり(私が知っている唯一の写真テク:被写体とぬいぐるみを一緒に写す)、これはブログにもツイッターにもマイナスだと思う。この記事も絶対リンクじゃなくてて写真あった方がいいもんな。この習慣のなさは恐らく私がスマホを持っていないことに起因している。タブレットから見たスマートフォンとの明瞭な違い、それは写真を撮るというなぜか携帯電話に付属し続けた機能に対する致命的な相性の悪さです。
閑話休題。ただなあ、ここまで書いておいてなんだが、私は別にキーボードというデバイスに特別な興味があるわけではないのだ。
自作キーボードを勧める一般的な口上として、「毎日触るデバイスなのにそんなに無頓着でいいのかい?」といった主張があり、私自身、分離型(左右が分離されたキーボード。市販品はほとんどない)が使いたくて自作を始めたのだが、実際に自作キーボードを使ったことでタイピングの生産性(純粋な便利さ)が上がっているかというと、そこまででもないと思う。
|←この記号が地味に使うのよ、プログラミングで。しかし自作キーボードでは、キーキャップの規格の問題、無刻印の方がカッコイイ、等の理由で一般にキーキャップの刻印と実際のキー入力が一致しないことが多いので、どこにこのキーが行ったのか忘れてしまう。よく使うキーなら刻印なしでも覚えていられるが、それでもパスワードのように入力が隠れていると結構日常的に打ち間違える。
キー配列も、拘る人だとシフトキーやエンターキーだけではなくて文字のキー位置を根本的に変えてしまったりするのだが、私は面倒がって(使い始めの指が動かない時期が結構ストレス)あまり変えないキーが多い。ここまで書いておいて思ったけど、もしかしてタイピングの能力が低いんじゃないか。
どちらかというと自作キーボードを組み立てている時間が楽しい。昨日までHelixを組んでいたのでもう次のが組みたい。ハンダの匂いを嗅がせてくれ。
思い返してみれば中学の部活ではロボットを組んでいた。その時は半年くらいで諦めてしまったが。
そうすると趣味の進化は電子工作方面なんだろうか。子供時代の夢の続きといくか? IoT……IoTする? でも一体何を作ったらいいんだろう。この「何を作ったらいいのか」という戸惑いは私には結構鬼門で、そういう考え自体をなんとなく後ろめたく思ってしまう。そういう意味では、自作キーボードを電子工作の入門と捉えるとかなり入りやすいな。適度に実用性があり、適度にパーツを選ぶという創作性の発揮の余地がある。
4機目を買ってから考えるか。そろそろ赤軸に挑戦したいです。
(初稿)2022/2/17
(4号機)2022/7/4


SFを楽しむ

三年くらい前から割と意識的にSFを読んでいる。
自然科学を修めている人間なのだが、社会科学と対比した自然科学って、学問する対象よりは世界の理を探す人間の働きに本質があると思う。自然科学は世界vs人間、社会科学は人間vs人間。
だから単純にサイエンスが対象とするものをモチーフにした小説ではなくて、世界の謎が解かれる小説を読むと、サイエンスフィクションだな~と思う。
具体的にそれを感じた小説としては、ジェイムズ P. ホーガンの「星を継ぐもの」がある。人類は宇宙のどこから来たのか、といった謎を巡るSFなのだが、解説でも

ストーリーを中途半端に語るよりSFにサイエンスを取り戻す、50年代SF(ハイライン、アシモフ、クラーク)の血を継ぐ70年代のSF

(メモからなので正確な引用ではない)と語られていた。
書籍に詰め込めるものは限られているというより、書籍から受けとれる印象というのは限られているので、「星を継ぐもの」でサイエンスに集中できたのは、他の要素に心が動かされないからだと思う。解説では「ストーリー」という言葉を使われているが、私はキャラクターを削いだ結果だなと感じる。
当たり前だがキャラクターが立っているからSFとして魅力的でないということはない。先の解説にはハイラインが出てきたのだが、「月は無慈悲な夜の女王」は割とキャラクターも魅力的なSFだなと思う(→当時の感想)。キャラクターを描くことが多くの場合(時に必須のように)物語の魅力と取られる中で、それで掬えないジャンル特別評価点を与えているといった感じだ。本格ミステリに対してトリックやフェアさ、純文学に対して文章への拘りや構造の冒険を評価するように、SFに対して「世界を語ることに注力しすぎてキャラクターへの描写が疎かになっている状態」にポイントを与えている。
「星を継ぐもの」は、キャラクターを削ぐことで読者をサイエンスに集中させているが、実際には物語の中でキャラクターを全く語らないことは不可能で、SFを読んでいて「人間への興味がないね~」と感じる時、逆説的にサイエンスらしさを感じることがある。
実際にそれを感じた作品には「夏への扉」「三体」などがある。最近読んだシナリオだと「十三機兵防衛圏」にもそれを感じるのだが、ゲームという媒体ではキャラクターを完全に捨てることはできないのだと思う。しかし、このような切り口で語ってしまうと「キャラクターを描けていない」という批難に聞こえるので難しい。批難ならまだしも、読みが浅いというか、単純に「登場人物に共感できなかった」と区別して、客観的に人に伝えるのが難しいと思っている。

作品置場つくる

https://gallery.shortest109.net/

https://shortest109.net/
(ブログのアドレスがここのアドレスになってブログがサブドメインになった)

ツイッターに麻雀のスクショ上げてるのにpixivを年一しか更新しないから前々から作品置場ほしいな~と思っており、ちゃきっと作ってみた……どう?
iPadは割ときれいに見えるけどPCでのレイアウトを犠牲にしてるよな~。
はーレスポンシブデザインとやら面倒くせぇ……。スマホ持ってないからさ……。PC上から確認はしてるけどいまいち使う実感が持てなくて……。そもそも漫画読めるの?ホント?
調べしこと
  • 画像投稿サービスで長文もきれいに投稿できて広告が目立たなくてソシャんなくてよくてレスポンシブでカワイイサービスがないか調べた→そらないよねぇ~~~
  • HP作るまでするならどこ使うのも同じなのでブログと揃えてfc2か使ったことあるwixかな~と思ったがfc2がwordpress使えるらしいのでじゃあやってみるか~
  • wixは昔作ってみたことあるんだけど、やっぱりレイアウトが写真向けなんですよね……正方形にトリミングされたグリッドレイアウトに漫画の枠線が入ってはまらないことこの上ない
  • wordpressに漫画用のテーマとセットのプラグインが1種しかなかったので選択肢がなかった
  • もっとあるかと思ったのに→EASEL知らなかった……ショックなんですけど……
やったこと
  • 作品ファイルの整理。画像をアップロードした時に元ファイルの更新日時がわからなくなるのがだるいのでpythonでリネームしてファイル名を更新日時にすう。そもそも肝要の漫画データが全部揃っているのか心もとないのだが……
  • HTTPSにすう
  • せっかくだから独自ドメインにすう→wordpress使ってるから独自ドメイン使えるけどそうじゃなかったらfc2ホームページでは私のfc2ドメイン使えないらしい。なんでよ
  • 漫画を優先して漫画一覧、小説一覧はスクロール画面にしてたけど、小説一覧を選べるページがほしいって言われたから作りました。小説だけ読みたい気分のときもある。小説のスクロールはちょっと視認性きついよね
  • そもそも作品が揃ってない。代替えという意味ではこういうのは揃えないと意味ないから、ね~。でもpixivに投稿してない新し目のものが見られるという役目は果たしているか。まぁ投稿そこまで大変ではないんだけど。wordpressってページが固定ページと投稿ページにはっきりわかれていて考え方がかなりブログライクだよな……→大体揃えたと思う
  • 小説の表示が必要だからCSS書いた
  • blog以外のリンクいる……?今のところこっちがサブドメインだしな~んー……→置き場の方を上の構造にして切り替えた。ブログがさっぱりしたぜ
  • タグごちゃっとさせてみたい→させた
  • 完成した漫画のストーリーエディターの文章コピーして分かち書きして適当なメタデータ部分につっこんだら「この表現どの作品だっけ~」検索につよつよな個人HPができそ→あとはストーリーエディターのデータ放り込むだけ
  • タグのアンド検索→なた
  • https://eeedotweb.com/blog/wp-custom-search/
直すとこ・わかんねこと
  • プラグインの動きがいまいちわからん。作品一覧をグリッドとかプレーンテキストに変えられるらしいんだけど
  • タグ:のところも英語に揃えたいんだけどな
  • 年齢確認置くとすると一番入口にいっちゃう。そもそも年齢確認をどうするか、サービスでR18の線が引かれないからむず
  • 一枚絵の扱いどうしようか悩んでる
  • タイトルの扱いむずい。小説はタイトル見えてほしいけど漫画はタイトルないのいっぱいある
  • 線欲しいな……
  • ブログ入れ込む?
  • 色修正
  • タグクラウドの位置
  • Aリンクの色直す

小説が生まれる/小説家になる

文章を書くことは全ての人に平等に与えられた創作活動だ。
中学生の頃、私の文学の授業用ノートに父親がそういった旨の文章を書いたのをよく覚えている。どうしてそんな事態になったのかは忘れたけれど、我が父ながらいいことを書くなと思ったのだ。
まぁ絵を描く活動だって不平等な訳はないのだが。
お絵描きとの違いは、絵の具もペンタブも必要なしに中学生でも今すぐに名だたる文豪と同じ文章を、書くことだけならばできるということだろう。記号ってそういうことだ。その手軽さ。
普通に生きていたって、手紙の中に詩的な一文を加えることもあるだろうし、ツイッターは創作手段としてそのまま使われさえもする。文章を書くという創作行為はどんな時代でも日常のすぐ側にある。
それまでROM専だった人が創作を始めるのが好きだ。
昔、私の二次創作がきっかけで該当ジャンルの二次創作を始めたという人からメッセージを貰ったのがすごく嬉しくてよく覚えている。私の作品はその人の人生を変えたと思えた。
創作する側と見る側に境界はない。同人界隈ではこういった思想は珍しくもなく、たとえば即売会の用語などにそういった意識を見ることができる。特に小説は、先に述べた文章を書くという行為の手軽さゆえに、飛び込みやすい形態の一つだろう。最近だとスマホを使って通勤時間で書いている人さえいるらしい。そうやって打ち込まれた文字も、文庫サイズに製本されて同じ棚に並べば、商的流通に乗る本と見分けがつかない。そうやって小説の同人誌を普通の本の隣に置くのが好きだ。
そういえば前述の父は多趣味な人間なのだが、金がかかる趣味も多いので最近は老後何をするか悩んでいるらしい。密かに小説でも書かないだろうかと思っている。
深緑野分のnoteが好きだ。
深緑野分といえば「戦場のコックたち」。戦争の最中にある日常という料理。ミステリーが小説に与える相互作用。小道具も構想も練りに練られた素晴らしい小説だ。一章を読んだだけで、これはいいものだ!と興奮したのを覚えている。
それでこのnoteだ。失敗談を語る部分がいい。あんな小説を書く作者も、同じような悩みを抱えて同じように苦しんでいるというのがしみじみわかる。私もそうやって苦しんでいたら「戦場のコックたち」のような素晴らしい小説か、それが贅沢なら自分を納得させられる一篇の文章でもいい、そういうものを生める可能性もあるだろうか。まぁ続けていれば、そういうことが起きる確率だってあるだろう。文字を打ち込むというそれに限っては同じ行為である訳だから。
突然、応援しているプロ雀士が書いた小説が出版されると発表された。
びっくりしすぎたのでとりあえずミュートした。いや悔しい。他のどのフォロワーが小説を書いたと言ってもここまで驚くことはなかっただろうに。全然準備ができていなかった。違う世界だと思っていた。
その小説を好きになれる自信がなかった。だって文章で好きになったわけじゃないもの。
幼い頃から小説を嗜んできた人間として、好きな小説も、好きな文章も、好きなジャンルもある。自分の初読の感想は大事にしているし、それに対するプライドもある。なんでもかんでもインターネットに共有しがちな人生だが読んだ本の記録だけはプライベートなものとしているし、テクスト論にも興味をもっている。それに従えばこんなのはテクスト論ど真ん中の領域だ。にも書いたが、私は現代社会において作品へ下す評価と作家に対する商用的支援は切り離して考えている。この小説も既に2冊買っているし、読みたい友人がいれば買って送るので連絡して欲しい。であるからして、スタンスは読む前から出ているも同然なのだ。好きにはなれないかもしれないが、それによって作者を嫌いになったりすることはない。だからそもそもショックを受けるようなことでもないはずなのだ。けれども好きにはなれない可能性があると即座に思った自分にびっくりした。その驚きでミュートをしてしまった。
やはり読んでいる途中で作者のことを考えてしまったので、本の感想をここに書くことはしない。本当に大変なことだっただろうな。執筆に四年かかったらしい。四年て。お前は四年かけて同人小説を書いたことがあるか?
作者にとっては勿論初めて書いた小説だが、人気のプロ雀士が出版する小説ということで周囲からの期待も大きかったらしい。発売前から重版がかかって、随分ハードルが上がってしまったと感じたそうだ。しかし、献本されたチームメイトが即座に読んで感想をブログに認めてくれた。そのブログ記事は私が読んでも胸が熱くなるものだったけれど、作者もそれを読んで気持ちが軽くなったという。
なんて同人作家あるあるなんだ、とそれを聞いた時に思った。初めて作品を出した時のことはちょっと思い出したくないが、毎回初めてのジャンルには緊張を覚える。それに対していわゆる身内が感想をくれることほどありがたいこともない。身内なんていなかった頃があるから、その存在もありがたい。
変な話、そういったエピソードを聞いた時に、人なんだなと思った。雀荘で本人にファンレターを渡したこともあるのに。信じられないほど美しい麻雀を打つ人も小説を書く人間なんだな。
人はいつでも小説家になれる。私はその事実が本当に好きだ。その時、書かれた作品はテクスト論に従って同じ土俵に乗る。それは残酷なことでもあるかもしれない。しかしそれは私にとって、作者が大きな共感の枠組に入るということでもある。
ファンだと言ってくれた貴方、シナリオライター、父、ブロガー、深緑野分、プロ雀士。