おい!ミステリオタクのパラノマサイト感想聞いてくれやありがとう

先にスペック書きます。
媒体:Nintendo Switch™/Steam®/iOS/Android
お値段:2000円弱
つまり今メジャーな携帯ゲームは勿論パソコンも、スマホもどちらの機種でも遊べてミステリーADVがわからん人でもとりあえず買ってみよっかな?と思える価格であなたも君も万人に扉が開かれているということです。
ちょうど土日を空ければ完全にクリアできるくらいのボリュームですので、金曜の夜に案内人とお話を始めれば宜しいかと。
舞台は昭和の墨田区でジャンルはまっすぐホラーミステリーADV。墨田区の七不思議にまつわる呪いの力を手に入れた人間たちによってデスゲームが展開されます。これは厳密に言うと特殊設定ミステリというやつ。現実世界から少し逸脱したルールがあってそれに沿って論理が展開されるミステリ。はいはいはい。講談社タイガね。いいじゃん。懐かしさがある年代設定で今流行りの特殊設定ミステリをやる感じね。
システムは普通のアドベンチャーゲームですがちょっとだけメタがある。これは「序盤のネタバレ」なので許してください。いい味のメタですね。アンチミステリ!マヤユタカ!アンチアドベンチャ!
じゃあ皆が気になるキャラクター達を紹介していきます。キャラクタ達は嬉しいことに全員タッグを組んで群像劇を展開します。そこまで強い探偵助手構造ではないので探偵助手アレルギの方も安心です。探偵はずっと君だ。
タッグ1!息子を殺されたマダムと外連味探偵!タッグ2!親友を殺された女子高生と霊感女子高生!タッグ3!思春期の娘がいるおっさん刑事と彼に憧れる犬ころ後輩刑事!!!ありがとうブロマンス!
これね~設定だけ読んだら結構ミステリ典型だと思いますよ。外連味探偵はこうです。踊りだしそう。でも意外と心優しき常識人(比マダム)。マダムは最愛の息子を亡くして相当元気がないですが常識がないのでまれによく面白いこと言ってます。
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霊感女子高生は線の細い美少女ではなくこうです。強キャです。
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犬ころ後輩刑事はこう。唇が厚い造形なのかと思ったけど他のキャラもこういう口するし、製作者インタビューによるとおちょぼ口なんだそうです。かわい。
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先にビジュアルと設定の意外性を出しましたが、そもそも台詞がよく生きていてね……。全員のこと好きになると思う。現存ミステリ作家でいうと米澤穂信あたりが近い。大体のエンディングでは主要キャラが死ぬので、君の力で登場人物達の生きていける未来を守れ。そのとき守れてよかったって思えるってすごいことよ。全体の物語は人情ものとシリアス調ですが効果的にユーモアが使われていて確実に逆転裁判の血を感じます。
そして何よりミステリがいい!!!
温泉のような心地よい難易度ですね~私は詰まることはなかったですが~。こういうミステリヲタのどやは無視してくださって構わないですが~。ちゃんと考えたら結構誰でも解ける難易度です。ミステリADVに求めてられていることは難しさではなくロジックの正確性、つまり必要十分条件が満たされているということによる爽快感なんだよな。よくわかってるな。
最後にUIがいい!やっぱり人に勧めるからにはUIがしっかりしててくれないとさぁ!いらんのよ!UIのひっかかりは!ひっかかりたいのは手がかりだけなのよ!
ゲーム内説明がちょっとわかりにくいがルート回収はこのようにできます。明るい章だけ確認すればOK。

パラノマサイトは奇抜なゲームじゃない。名作ミステリADVに必要なのは必ずしもオリジナリティじゃない。ミステリというでかいジャンルが積み重ねてきたものへのリスペクト、そして初めましての人を受け入れるシステムと難易度なのよ。それがミステリオタクの称賛を生む。
明らかに世界の広がりを匂わせる世界観で、実際に続編の構想もあるようなので、わたくしにしては珍しく、こちら、買いですよ!と言っておきます。

麻雀本レビュー

麻雀本で棚が一つ埋まった記念にお気に入りの麻雀関連本をレビューします。

3ヵ月で強者と戦えるようになる 麻雀「超コスパ」上達法
今amazon見たら4冊買ってました。人に配っているので。欲しい人いたら買ったげるから欲しいものリストのアドレス教えてください。
ルールだけ覚えた初心者が読む戦術本にはこの本の他に平澤本千羽本などがあって気になっているのですが、私は超コスパ本の刷り込みを受けているので金派です(こういう派閥(仮想)、受験の参考書っぽくて好き)。比較検討したいんだけど流石にもう対象者ではないので踏ん切りがつかなくて。

トッププロに聞いた 麻雀「読み」の神髄
Mリーガーのずんたん本。手出しツモ切りなどの超上級戦術の威力について語る本。凄すぎるし特定の局面にフォーカスしているので私はこの本読んでもあんま強くなれんと思います。そういう構成の本は結構多いんですが、これは赤坂ドリブンズ担当の名広報・インタビュアー鈴木聡一郎の力によって、村上淳の凄すぎる技工と普段のずんたんのダメっぷり(聡一郎、ずんたんをコケにしすぎでは!?と思うが多分大丈夫です)がうまく対比されており、Mリーガーの魅力を発信する唯一無二の書籍になっていると思います。対局の動画と牌譜のリンクが別途noteにまとまっているのも参考資料厨ワタクシ大満足の処置です。

麻雀つれづれ日記 切った牌はもどらない
女性Mリーガーアッキーナのエッセイ本。これは黒沢さんの異色書籍(小説)渚のリーチもそうですが、ずんたん本とは違って本人が筆を取っていることに強い意味がある本。
文章がお上手ですね……。結構長いこと日記を綴る習慣があったらしい。納得だわ。情熱的な文章ではないのに表現の隅々にU-NEXT Piratesと麻雀への愛情が伝わってきてギャン泣きしました。今パラパラめくったらまたちょっと泣けたのでしばらく捲るのやめます。
あとフォトエッセイとしたカドカワの企画も間口の広げ方が憎いくらいうめぇと思います。俺はフォトに興味がないので全部飛ばしましたけど……。

東大を出たけれどovertime
麻雀漫画で一番好きなのはオバカミーコなんですけど最近の一般ウケする(は?オバカミーコも一般ウケするんですけど?)漫画としてこちらをオススメさせていただきます。「東大を出たけれど」という漫画の続きものなんだけど私はovertimeが特段好き。オバカミーコの血も引いてるし(勝手にそう主張しているだけ)。続けて読むとMリーグ前の雀荘・麻雀像とMリーグ以後の麻雀・麻雀プロ像と悲喜こもごもが見れていいんじゃないかと。はよ世間の声で眞白がMリーガーを目指す続編を出していただけませんかねぇ!?
ちなみに主人公の名前が作者と同じなのでovertimeは無駄にドキドキさせられますが一応ちゃんとフィクションです。

Mリーグ観戦マニュアル
Mリーグ ほぼ毎日4コマなり追憶のMなり、様々な創作の元となっているMリーガー達なんですが、どの程度創作が入っているかって本当に注意して扱うべき事項だと個人的には思っている。この本、前半は選手の実際の打牌について解説しているんだけど、後半の何切るは土田浩翔の「創作」なんですよ。そんな創作の手法取って世に著作送り出せるの土田浩翔くらいしかいないって。この本はMリーガーの魅力に迫る本と見せかけて土田浩翔というプロ雀士に畏れを抱く本です。

勘違いしているところも含めて本当に善きツイート(瑞原さんは土田さんのファンです)。これ取り上げられたMリーガー全員やってほしい……。
好きな創作台詞を発表します。「咲にはそれが問題とは思えないわ」←黒沢さんの一人称「咲」とか聞いたことない。

小説講座所感

秋の間、某大学主催の小説講座を受けた。現地参加。前期まではオンライン講座だったのでちょっと面倒だったんだけど、現地に行ったことで世の中には小説を書くことを始めようとする人がいるという事実を確認できたのでよかった。
参加人数(課題の提出者)は14人。年代は50代が中央値かな。男女比はほぼ一対一。当たり前だけどそれはオタク層とは全然被ってない。オタク、多分一人か二人くらいしかいなかった。
オタクの老後に興味があるので面白い印象だった。テンプレートでない人生は続くんだよな。

読解

講座は主に小説を段落単位で解析しつつ、いろいろコメントを聞く形式。
小説を書く時の課題として、テーマの探し方と書き方に関わるテクニックの2つがざっくりあると思う。最近勉強している小説批評は小説全体のテーマの方にスポットが当たっていることが多いので、久々にテクニックについていろいろ考える機会があってよかった。でも一個一個のテクニックを全部引き出しとするのは難しそう。まぁ実際に書く時に使うか、自分で読解していかないと頭に残らないよなぁ。
網羅的に掲載されている大辞典でもあればいいのに。前に紹介した本の中だと小説の技巧がそんな感じかな。テクニックじゃなくてテーマに寄ってる気がするけど、網羅的という意味では感情類語辞典も近いのかなと思う。それで感情類語辞典を改めてぱらぱらめくって見てみたんだけど、じゃあこれがすぐ外部装置的な引き出しとなるのかというとそういう気もしなくて、小説の書き方を人に教えようとする難しさを感じた。
講座を受けていると読む本が供給されるのもよかったな。紹介される小説の既読率がちょうどいい感じにプライドをくすぐりましたことをここに告白させていただきます。ラッタウット・ラープチャルーンサップの「観光」、読んだことあるわ。
島田雅彦、向田邦子、保坂和志←とりあえず1ポイント入れた
川上弘美「神様」、スティーブン・キング「書くことについて」←読んだ
村上龍「コインロッカー・ベイビーズ」、春樹「騎士団長殺し」←積んだ

添削

これね。記事これ。

講義も良かったんだけどでも全6回の中で1.2回分使って添削の講義があって、これが本当によかった。これだけのためにも受けてよかったな。結局書いていくことでしか小説の書き方を覚えることってできなさそ。書くことへの刺激を受けるという点では週一で講義を受けたのもよかった。そのままのやる気で書けたらよかったが、まぁ秋は漫画も描いていたのでね……。
人に読んでペンを入れてもらうことは多分同人オタク同士でもできるんだろうけど、センスと技量への信用と、人間関係が壊れないだろうという信頼が必要そう。実験的にやってみたくはあるので信用と信頼があるオタクは声をかけてください。

習作01(作品置場のタイトルどこにおく問題まだ解決してません)
課題:泣けるシーン
原稿用紙300枚程度の物語の一部で1200字前後とする
書いた感想
最初はこれで書こうと思ったんだけど、元ネタの方のテキストファイルを開いたらそっちのほうが出来がよかったので勿体なくなって課題を生贄に元ネタを再生させた。
そしたら泣ける話って何を書こう……と思って、自分がどんな時に泣いたかを思い出したり、人がどんな時に泣くかの連想ゲームをやったりしたけど、結局直近の出会ったシーンから妄想して書くことにした。こういうのどこまでフェイクを入れればいいもんなんだ。手癖で動物を殺したわけではないんだょ……。
工夫は、最初別の視点人物を立ててたけど泣けるシーンがテーマだったので視点人物=メイン人物に直したところ。
わかんなかったところは、熱中症の叙述を入れるべきかどうか。直接的すぎたかな。
講評を受けて
書いてみたら自罰のしんどさみたいなものを書けてるかなと思ったんだけどそれに寄せた書き直し(寝付けなかった理由のところとか)が必要だったのにツメが甘かった。あと書き直してる途中で直したから線がつながってないところがあって(ヒヨドリと都会の部分)これもよくなかった。直す。
一人称の際は一人称でわかることしか書いちゃいけないよ問題、存在は知ってるんだけどいまいちどこまで許されるのかいまいちわかってないので普段からぶれてそう。
最後手前の段落褒めてもらえたのはエモを得意とする同人作家っぽい。
11/17 再校

人間―動物文学の研究(途上)

動物文学の勉強をしてるんだけど、ちょっとずつ文献を読み進めているのでまとめてみる。適宜更新していきます。
とはいえ、動物文学という言い方をするとマジモンの動物が主役の文学(シートン動物記とか)が出てきちゃってちょっと興味の方向性と違うことに気がついた。
動物文学 – Wikipedia
動物と人の関係性に注目して文献を探すと好きな方向の研究ができそう。そういう文学の用語は知らん。人間―動物文学。

捕食被食関係

  • 性食考
    • 子どもの本と〈食〉物語の新しい食べ方
必ずしも人間は食う側ではない。哺乳類は系統的には被食者の側の生き物ですからね。
子供向けの物語によく出現するっぽい。

動物文学はその性質として児童文学の分野と結びつきやすく

ってテキストがさっきのWikipediaにもあるけどここの関係性は必然ではないと思う。例えば子供に動物のぬいぐるみを与える(性食考)など。不思議なので調べる。

獣姦

  • 聖なるズー
  • 性食考
    • 昔話のコスモロジー ひとと動物との婚姻譚 (小澤俊夫の昔話講座)
    • 犬婿入り
一番興味あります!(大声)
実は愛玩動物としての地位や搾取暴力の対象よりずっと歴史のある関係性。日本や非西洋の神話・昔話には「原始的な感覚」としての動物と人間が渾然一体となった世界観が存在するため。でもそういった世界観と現代の獣姦へのタブー感(聖なるズー)とは相当な断絶がありそう。
搾取や暴力の対象
  • 動物の声、他者の声
    • 風媒花
    • 奇妙な仕事
    • 飼育

今頑張って読んでおります。

動物は語らない、動物は書かない、動物は歴史を持たない、動物は世界が貧しい、動物は罪の自覚を持たない……。これらの《動物》を意味づける言説が、私たちの生きる世界をどれほど根本から基礎づけているか。逆に、これらの言説の権威を転覆したときに、どのような世界が私たちの前に現れてくるか。(『動物の声、他者の声』)

この辺が面白い。断絶してるね~。

愛玩動物

必然的に現代の作家になる。
馳星周は割と近い題材でいろいろ書いていそうな気配があるので、別の作家を探したいねぇ……。おすすめがあったら教えてください。批評的視点が欲しいんだよなぁ……。ちょっと犬身が面白すぎて超えられる気がしない。