1番:君の書き言葉を教えて
・環のスタンプ癖
・ナギの顔文字:-)
・十は写真をよく送りよくぶれる
・モモの顔文字癖
リリース時からラビチャはそこに存在していたので気が付きにくいが、会話を主体とするノベルゲームに、キャラクターの書き言葉が別にあるって結構すごいことだ。同じでもよかったはずなのに。さらにその文体に一回きりでない「癖」があるのがキャラクターとリアルにチャットをしているような感覚を助けている。
さらにナギはラビチャでよく「OH…」って言う→マネージャーにも伝染るとか、一織がスタンプでよくログを流す→他の人もそれを知っているのでスタンプでログを流そうとすると「一織みたいなことをしている」と言われるとか、癖を通して今読んでいるラビチャの外の広がりまで感じさせてくれるところも好きだ。
2番:チャットの表現、諦めないで
・動揺して「途中で送っちゃった!」になるモモ(Re:vale警察)
・複数の視点人物が同一の現象に別々の認識を抱いてそれをマネージャーに話している(警察シリーズ全部、あとメッゾとかオフ高校生とか)
・スタンプでログを流す人々(一織、楽警察、他)
・グループチャットでは送信と受信の時差で話についていけない人が出る(大和SONGS)
警察シリーズ大好き人間みたいになってしまった。事実だけど。複数の人物が同一の事象に別の認識をもつの、完全に叙述ミステリの手口だ。
チャットをソーシャルゲームの中に実装するということにどの程度歴史があるのかわからないが、まぁ私が観測している範囲で書くと電車男、黒子のバスケ二次創作、今は亡きPixivチャットストーリー機能とインターネットや各種アプリから生じた形式の創作みたいな流れがあり、それは普通表現の制約になると思う。例えばラビTVなら黙っている状態を「一織:……」で済ませられるところを、ラビチャでは例えば「紡:一織さん?どうしました?」といった方法で表現しなければいけない。それを制約でなくユニークさと捉えてちゃんと時代のコンテンツとしてチャット形式にすることで生まれる表現と向き合うのは、目新しいことではないけれど立派なことだ。
3番:小鳥遊紡という色を知ったよ
無色ではない小鳥遊紡のことを知りたければラビチャを読むしかない。何しろラビチャの性質上全話に登場して喋っているんだから(VD冬のデートSPの最終話を除く)。
まぁ流石に、元気いっぱいで明るく仕事熱心な女の子といった正当派女性視点人物の印象が180度変わるようなことはない。それでも姉鷺さんと相当仲良くしていたり、ずっと筋トレを頑張っている姿を見られるのはラビチャだけ。
男性アイドルをプロデュースするソーシャルゲームにおいて製作者とユーザーが視点人物に何を描き何を重ねるかは様々で、アイドリッシュセブンの中でさえ八乙女楽から紡への好意の扱い方は転換されたと見ることもできる。ラビチャの中で改めて「小鳥遊さん」と呼ばれるのにはぐっときた。それでも小鳥遊紡はただの透明な視点じゃない。そういう描写がないため私も忘れがちだが、本編でも小鳥遊紡はプロデュースだけではなくライブの演出に関わっているという設定になっているし、三部~五部を見ていると、小鳥遊紡とあの温かい寮の元をアイドル達がいかに飛び立っていくかというのはこれから描かれる気もする。希望的観測を含む。
刮目せよ、小鳥遊紡に。ラビチャで予習をしておけ。
(ラップパート)シルスカ
シルスカラビチャの信者なので延々とシルスカラビチャの話ができるんですがあれこそはキャラの表情が動くラビTVでは到底実装できなかった空気だったと思っておりそもそもその本来覗けないものを覗けるという事象がラビチャでしか実現できないしまたその事象と海辺からホテルの一室を見上げたなびく白いカーテンだけが見えるそういう連想表現つまりラビチャはそこにないものを周囲を埋めることで空白として描けるそういうことです具体的にはあのエンディングの余韻がスマートフォンのその向こうの世界の存在を示しておりところで二次創作って余白を埋める時そこに発生するものなのであの後にあの後の二次創作がばんばん出てきたのは道理って感じなんですけどわかるよノベライズは全部虐殺したかったんだよなその余韻をね情報格差を是正するためにはここまでの徹底的暴力が必要なのかと知って驚いたまぁだからシルスカラビチャはある意味失敗だったんだろうなでもあの時あそこに三ヶ月だけ開いていた秘密の花園があったことは事実だしその後に生まれた衝撃も創作物も消えないし同じストーリーを描いたから同じものが表現できるかといえばそれは表現の為せることを馬鹿にし過ぎなので私はあのリアルタイム感に立ち会えて本当に幸せだったよでもその後に来た人ももう何も恐れることはないよなんと言っても徹底的虐殺だったからさ………………
ラビチャ、ずっとそばにいてね
参考:小鳥遊紡の消失
2022/3/26 一部追記、修正