あまりにすごすぎてサンプル見た段階ですごい……と呟いてしまった。
多分それはpixivのサンプル冒頭の数十ページで物語を感じたからであった。なんならもっと導入を読み続けたいと思ってしまった。おじさんに会えない間のこーことか。おじさんを尊敬する部下(続編でこーこに殺されかける)とか。
一番可愛い顔のこーこを発表します。動物園でおじさんを引っ張ってるこーこ。
しかしこれをエロ漫画として構成する難しさが存在する。なんといっても本文68Pのうちおじさんの股間にこーこの尻尾が吸い付くまで15Pも使ってしまっているのだから。ぬいぐるみのシーンも素晴らしい暗喩だったが、これも作者によるとエロ漫画であるがゆえに入れるか悩んだとのこと。
ストーリーがあるエロ漫画はよいものだ。ストーリーとエロが組み合わさると素晴らしいことは「pixiv二次創作長編エロもあると相乗効果がある理論」においても証明されている。エロ漫画としての魅力は他のレビューに譲るとして、ここではストーリーやそれを取り巻く設定の魅力を語ろうと思う。
魔法少女とは何者なのだろう。こーこは何故魔法少女に変身することができるようになったのだろう。
こーこは約半年前に魔法少女になったらしい。おじさんがこーこを避けるようになってからすぐに魔法少女の能力を手に入れたことになる。直感的にはタイトルから「こーこは魔法少女になった結果おじさんを手に入れることが可能になった」と連想するが、時系列から考えると「こーこはおじさんを手に入れることを願った結果魔法少女に変身することが可能になった」と考えることもできるのだ。だからこーこの思う「かわいい」変身した姿には、似つかわしくもない搾精器官がついているのかもしれない。だから魔法少女は男性の、おじさんの精液で「ぱわーあっぷ」できるのかもしれない。
レビュー欄を覗くと私と同じ様に思わず考察を始めてしまった人々が散見される。魔法少女が何者であってもこの漫画でシコることにおいては重要ではないのに。シコらないときにも読者を絡め取り離さない世界観、それってエロくないですか。
作者は大柄の女性が優位を取る作品を多数発表している。それを踏まえると、涙目で懸命に己の尻尾をおじさんの股間から外そうとするこーこは、これまでの作品のヒロインとは明らかに毛色が異なる。
しかし魔法少女の力を手に入れるにつれ、こーこの振る舞いは自信に満ちていく。失禁するおじさんをあやすこーこに、読者は牛タン定食の恋作品群に連なるヒロインの姿を見る。すなわちこの物語は幼き少女が強き存在へと変身していく成長譚なのである。「魔法少女はおじさんを手に入れる」は、エロ漫画でありながらも、作者のこれまでの作品群を活かし物語の王道を歩む、唯一無二の漫画なのだ。