精神に関わる病って、日常生活に支障をきたすことが定義になるらしい。私もこれって病気かもなと思ってるほど苦手なことがある。

一人で外食すること。
最近土曜日は大学に通っている。その大学のある街に訪れるのは初めてだけど、名前はよく聞く賑やかな街だ。駅前にアーケード街があって、大学の前の広場ではよく何かの催事がやっている。もちろん飯屋も多い。講義が終わると昼過ぎになる。めちゃくちゃ昼ごはんを食べて帰りたい。
でも帰るまでの道のりで、どこで食べて帰るか決められない。知らない街には知らない店しかない。わざわざ食べログを調査するほどでもないし。メニューもわからない店頭の雰囲気なんてあいまいなものでお店を決めて失敗して悲しい気持ちになりたくない。並んでいるお店は多分おいしいんだろうけれどそうまでして食べたいかっていったらそうでもないし、それで味はよくてもお客さんが迷惑な行為をしていたり店員さんがどなられたりするのを見たら嫌だし。一店一店そういう減点方式で却下していくうちに全ての店は背後に過ぎ去り駅につき、そのままいつも通っているスーパーに寄って惣菜を買って帰り家でお米を温めて食べる。
この前の帰り道も空腹を押さえながら駅までの道を歩いていたら、この先には丸亀製麺があることを思い出した。

チェーン店はまだいい。知らない街にあっても知らない店じゃないから。そこまでおいしくなかったとしても、この情報の正誤を確かめたという価値がある。その価値は次に行く知らない街でも役に立つ。
あと肉うどんが食べたい。肉うどん好きなんだ。家ではうどんって作り置きができないからあまり食べないけど。そう、この家では作らないというのもポイントが高い。
これだけ条件が揃ったなら今日の昼ごはんは丸亀製麺だと意気揚々と向かったが、そこにあったのは花まるうどんだった。
しかし私は諦めなかった。Google mapを起動する。これだけ賑やかな駅前なら丸亀製麺くらいあるんじゃないかと思ったのだ。果たして大学の前に丸亀製麺はあった。天才的なフォローだ。もし席が空いていたら、お店で少しのんびりして講義の復習をするのもいいな。
改めて意気揚々と道を戻って丸亀製麺に向かうと、店の前まではみ出すほど人が並んでいた。でもくじけない。私は肉うどんを食べるんだ。
嫌な予感はあった。店の前のメニューには肉うどんがなかった。しかし私の後ろには既に家族連れが並んでいる。もう後には退けない。
注文する客の回転は早かった。一分後、私のお盆の上には明太釜揚げうどんが乗っていた。そして私は現金をほとんど持っていないことを思い出した。心臓がばくばくする。交通系ICカードくらい使えるだろうと思う。でもわからない。丸亀製麺には普段いかないから。ICカードもワオンも使えなかったらこの釜揚げうどんはどうしたらいいんだろう。あと釜揚げうどんってこういうものなの?つゆないの?
ICカードは使えた。つゆは貰えなかった。レジの人が気がついて「あれ!つゆがないよ!ごめんねお客さん、ちょっと!つゆ!」と言ってくれるのを待ってたのに。
うどんを引っ掻き回したけど明太子と生卵の味しかしなかった。テーブルの上に醤油のボトルがあったからそれをかけた。機転がきいている。
そのうちお腹がちくちくしてきた。そうだ、講義を受けていた時からちょっと痛かったんだ。でもまだうどんは残っている。もういらないのに。肉うどん。食べたかった。なんで釜玉うどんにしちゃったんだろ。もうちょい似てるもの頼めばよかった。だってつゆがついてこないなんて知らなかったんだもの。講義の復習?そんなもん家で落ち着いてやるに決まってる。
なんとか口の中に押し込んで逃げるように店を出た。
最近外でご飯を食べるときの気持ちはいつもこんな感じ。何故か途中でお腹痛くなってきちゃう。
病気かもしれないな。